読み較べ ビッグデータ②:ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える
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- POSTED : 2013.11.27 10:11
f t p h l
ビッグデータの正体
一冊目にご紹介するのは「ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える 」です。
この本におけるビッグデータの定義
ビッグデータに明確な定義はないとしながらも、次のようにまとめています。
「小規模ではなしえないことを大きな規模で実行し、新たな知の創出や価値の創出によって、市場、組織、さらには市民と行政の関係などを変えること」。それがビッグデータだ” (P.18)
データ量などでビッグデータを定義することが多い中で、上記のように「もたらす効果」によってビッグデータを定義することは珍しいですね。
どんな時にこの本を活用するか
すごく端的に言うと、「ビッグデータで何ができるのか?」がわかる本でした。様々な業種・業態の企業が大量のデータを分析することでどんな知見を得られたか、又は自社のビジネスどのように活用しているかが、数多くの事例としてまとめられています。
例えば、米大手出版社のバーンズ&ノーブル(P.176)であれば、
分析対象:自社の電子書籍端末から収集したデータ
得られた知見:長編ノンフィクションは途中で読むのを辞める顧客が多い
活用方法:最後まで飲んでもらいやすいように、健康や時事問題などの短編集を刊行するといった商品企画に活用
と整理されています。
ほとんどの事例がアメリカ企業のものではありますが、この一冊を読めば、「ビッグデータの活用事例」を知ることができます。
この書籍で印象に残ったこと
第4章”第3の変化「因果から相関の政界へ」 答えが分かれば、理由はいらない”(P.80〜)の中で、“じっくり時間をかけて因果関係を探る論理的思考よりも、相関分析のほうがさらに使い勝手や効率が高まる”(P.107)という記述があります。
要は、大量データを統計的に分析すれば、効果的な打ち手が相関関係から明らかになる。そのため、その打ち手が「なぜ効果的なのか」という因果関係を考察することは重要なのだろうか?と論じているわけです。
なるほどとは思う一方で、打ち手の効果を因果の視点で読み込むことこそが、分析で得た知見の応用(=横展開の可能性)につながるのではないかとも思います。どちらか一方だけがあればいいということではなく、相関関係と因果関係を行き来する必要があるのではないでしょうか。我々ギックスでは、データ分析において「相関を導き出す【データサイエンティスト】」と「因果を見出す【データアーティスト】」の2つのケイパビリティが”同じくらい”重要だと考えています。相関だけでも因果だけでも、片手落ちになってしまうという印象は否めません。
ご参考: ギックスの考える「チームCMO」
f t p h l