コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その⑧

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7step_1

「優秀なビジネスパーソン」と言われる人を紐解くと、「営業思考のサイクル」ができている。そのサイクルとは「(状況や背景から)“何かに気付く”」「解決策を考え付く」「(策に従い)実行する」。その「気付き」「解を考え」「実行する」のサイクルを企画書や報告書作成のビジネスの場に活用する方法を、7つのStepに分解して紹介する。
(東洋経済THINK!2010年No.32)

 

7Stepの実践編 提案書によるケーススタディ Step6

 

Step6:シナリオ立案

シナリオ立案で一番に考えたいのは、「初めて見た人でも理解できる分かりやすさ」である。特に、担当者は24時間365日そのことばかりを考えているが、上司やクライアントにとっては初めて、もしくは数週間ぶりに聞く内容なのだ、ということを気に留めてもらいたい。

提案書を例に取ろう。私は上記のStep1-5で検討した内容を、4章構成の提案書としてまとめる。【図6】

1章:プロジェクトの背景・弊社の認識」

2章:主な論点とアプローチ」

3章:スケジュール」

4章:実行体制・見積り」

Step1-3の「調査、構造化」により得た「気付き」を1章で伝える。「クライアント企業がおかれた環境やプロジェクトに至った背景」、「市場や競合の動向」から得た「気付き」を弊社の認識として共有する。ここでの注意点は“分かりやすさ”だ。自分で調べたこと、新たな発見、面白いネタなど、多くのことを説明したい気持ちは抑えて、次章の論点を理解してもらうのに必要最低限のコンテンツを揃えることに注力したい。提案書だけに留まらず、全てに言えることだが、「不必要な情報は悪」である。

2章ではStep4で検討した「論点」とその検討アプローチを伝える。「論点」「アプローチ」はクライアントの意思決定の礎となるため、非常に重要な章である。

3章では、2章の論点・アプローチで検討すると、どのようなタスクが発生し、どのようなスケジュールになるのかを伝える。スケジュールの実現可能性は、プロジェクト成功の可否に大きく影響する。クライアントにとって納得のいくスケジュールが必須となる。

4章では、プロジェクトを実行する体制とコンサルティング・フィーを伝える。

実は、この章立ては「無形の商品であるコンサルティング」の価格に対する妥当性を逆から説明できるものになっている。

問い:なぜこの値段なのですか?

答え:この体制(各タイトル×人数)、期間でプロジェクトを行うからです。(4章)

問い:なぜこの体制、期間なのですか?

答え:このスケジュールでプロジェクトを実行するからです。(3章)

問い:なぜこのスケジュールになるのですか?

答え:プロジェクトの論点はこれで、それに答えるにはこのアプローチを取る必要があるからです。(2章)

問い:なぜこの論点になるのですか?

答え:市場・顧客の環境、競合の環境、貴社のおかれた環境と今回実現したいこと(プロジェクトの狙い)に鑑みると、論点はこのように想定できるからです。(1章)

そのため、1章から正しく論理を組み立て、シナリオが流れていかないとコンサルティング・フィーに対する信頼性は揺らいでしまう。

第1回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その①
第2回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その②
第3回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その③
第4回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その④
第5回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その⑤
第6回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その⑥  
第7回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その⑦
第8回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その⑧  ⇒今回
第9回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その⑨

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