”考え方”を考える|相手の「立場」に立って考える

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想像力豊かな「おとな」になろう

本日は、「相手の立場に立って考える」という思考様式について考えてみたいと思います。

相手の立場に立つ とは?

良くある誤解として、「相手の立場に立つ」というのは「サービス業にフィットする思考様式」だというものがあります。

まぁ、実際、サービス業は「お客様の立場にたつ」ことで、自分が求められているサービスを想像しやすいので、そういう意味では適した考え方だと思います。しかしながら、サービス業以外のあらゆる状況で「相手の立場に立つ」ことは有用です。

「慮る」は、ビジネスマンの基本動作である

ビジネスマンというのは、ある時は「客」であり、別の場面では「売り手」です。あるいは、ある時は「上司」であり、別の場面では「部下」です。限られたごく一部の人を除いては、状況に応じて、さまざまな役割を「演じ分ける」ことが求められています。

「売り手」「部下」という、一般的に弱い立場の時には、是非を論じるまでもなく「相手の立場に立つ」べきですよね。一方、だからと言って強い立場の時に「嫌な客」だったり「嫌な上司」だったりするのは、いただけません。自分が強い立場の時にこそ、敢えて「相手の立場に立つ」ことがビジネスマンのあるべき姿だと僕は思います。(するべき主張や要求をするな、ということではありません)

弱い立場の場合:

部下、や、売り手、という立場の時に、「相手の立場に立つ」ということは、どういうことでしょうか。

それは「上司や、お客さんが、”求めているもの”を想像する」ということです。

具体的にいうと、どういう資料を作ってほしいのか?どういうサービスを提供してほしいのか?を考えることになりますね。

そして、それらを正しく把握し、理解するためには、周辺情報の収集が必要です。相手は、どういう情報を持っていて、何を判断基準にしているのか。その資料を使って/そのサービスを導入して、どういう目的を成し遂げたいのか。上司の、さらに上司に報告して決裁を得たいのか?お客さんの、さらにお客さんに提供するサービスの納期短縮に役立てたいのか?そういうことを考える、ということになります。

コンサルタントは、主に、この状況で「相手の立場を考える」ことが多いです。もっと言えば、目の前にいるクライアントの担当者の立場、その上の意思決定者の立場、といった「高さ」(三谷宏治さんの著書「観想力」でいうところの”視座”)を調整したり、さらには、そのクライアントの先にいるお客様(クライアント企業のユーザー)の立場(「観想力」の”視点”)で考えたりします。そういった、さまざまな【立場】を使い分けて、「問い」に対してより良い答えを探すわけです。

強い立場の場合:

一方、強い立場の場合はどうでしょう。

これは「自分が、その立場だった時に、何で困ったか」を考えるということになります。

例えば、自分が若手だった時に、上司からの指示に対して「わからなかったこと」は何かなかったか。「聞きにくかったこと」はなかったか。あるいは、自分が売り手だったときに、お客さんの要望で「伝わってこなかったこと」だったり「勘違いしてしまったこと」はなかったか。そういうことを想像することになります。

これができると、ミスコミュニケーションが減ります。そして、チームとしての生産性が上がる/納期の遅れなどがなくなる、という効果を生みます。

例:メールが書けるか

先日ご紹介した「メールをちゃんと書く」というお話でも書きましたが、相手の持っている情報量をキチンと把握(あるいは、想像)しないと、メールは書けません。相手の立場を正しく想定し、自分の現時点の仮説と、その条件分岐を整理したメールが書ける人は「相手の立場に立てる人」です。

関連記事:【”考え方”を考える】メールを「書ける人」と「書けない人」

例:飲み会で、正しくふるまえるか

あるいは、飲み会を考えてみましょう。飲み会のメンバーは、「幹事」と「参加者」に分けることができます。

「幹事」は、参加者の気持ちを考えて、どれくらいの予算で、どういう会場で、どういう風に進行するかを考えます。そして、参加人数の見込みから適正な会場を予約し、コース料理であれば直前に人数をフィックスして予約します。

一方、「参加者」は、さらに、下記の二つに分かれます。

  1. 幹事の立場を考えない参加者
  2. 幹事の立場を考える参加者

一般的に、1は、幹事経験のない人です。なので、幹事の立場を「考えない」というよりは「考えられない」のです。そういう人は、「行けたら行くわ」と言ってみたり、当日連絡なしのドタキャンや、開始30分前にやっぱ行くわと電話して来たり、なんてことを平気でやります。

さらに、そういうことをする人ほど、「会費が高い」とか「飯が不味い」とか「もっといい会場があったのに」と文句を言ってくる傾向にあります。で、2時間制が終わっても、女の子を口説くのに必死で、幹事が追い出しても会場から出ていかなかったりします。ちっ。

こういう人たちは「相手の立場に立てない人」です。こういうワガママばかり言う人は、僕はビジネスマンとしても尊敬しないことにしています。文句があるなら、次回から自分が幹事をやればいいのです。(ですので、目茶目茶文句を言った人でも、その後、率先して幹事を引き受けて、しっかり運営している人は、尊敬することにしています。)

一方、2の人たちは、自分で幹事をやったことがある人たちなので、ワガママな参加者に迷惑をかけられた経験が豊富です。そうすると、自分がドタキャンするときには、会費は払うから請求してくれ、だとか、ドタキャンが相次いだ場合は、会計時に多めに出さなくて大丈夫かと幹事に声をかける、とか、2時間制の終わりには幹事と一緒にメンバーの追い出し+忘れ物が無いかのチェックをやる、とか、そういう対応ができます。

想像力が無いのは「オコチャマ」だ

ちょっと幹事のくだりは、熱くなりすぎましたが、まぁ、思うところがあるということでご容赦ください。いずれにしても「相手の立場になって考える」ということ、「想像力」の話です。

言い切ってしまいますが、想像力がない人は”オコチャマ”です。

子供は、例えば「エスカレーターで、身を乗り出してはいけない」だとか「電車の連結部で遊んではいけない」だとか「公共の場で大声で騒いではいけない」ということを理解できません。

最初の二つは「ケガをする可能性がある」「ケガをしたら痛い」「大ケガになると親が悲しむ・親に迷惑をかける」というようなことを想像できないのです。また、最後の例では「周囲の人が、どう感じるか」を想像できないわけですね。

基本的に、ビジネスにおいても「相手の立場を想像する」ということができない人は、オコチャマです。レベルの違いはあれ、電車で走り回る子供と、本質的には何ら変わりません。

オコチャマを脱却するには

では、そんなオコチャマ脱却のためには、何をすればよいのでしょうか。

まずは、インプットをとにかく増やすことです。本を読む、映画を見る。そういうことも当たり前ですが大切です。そして、いろんな立場を知り、いろんな状況を理解できます。

その上で、実際に色々な人と話し、触れ合うことが大切です。その際、相手が何を考えているのかを頑張って読み取る「努力」を怠ってはいけません。

想像力を鍛え上げて、相手の立場を慮り、言葉の真意を感じ取る。そういうトレーニングを日常生活の中で培うことが、ビジネスマンとしてのベーススキル向上に役立つと共に、人間力の向上にも役立ちます。

例えばコンビニで、あるいは、レストランで、周りの客の振る舞いや、店員の対応などを見ながら「自分ならどうするか」を考えてみると、見えない世界が見えてくると思います。是非、お試しください。

関連記事:「考えた順序」と「説明する順序」は違いますよ

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