プロフェッショナル・ビジネスマンになろう(2)|「品質」と「納期(スピード)」を両立させよう

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「二律背反」を両立させる

プロ、即ち、プロフェッショナル、という言葉を「知らない」という人はいないでしょう。しかし、プロとは何か、ということに関する明確な定義を持って、その言葉を使っている人は少ないと思います。

本連載では、プロフェッショナルとは何か、について考え、そして、プロフェッショナル・ビジネスマンとして生きるためには、どうすればよいのかについて論考を進めます。

前回は、「プロとは何か」について論じました。本日は、そのプロのコダワリの構成要素である「品質と納期」について考えていきます。

品質と納期の関係性

一般的に、時間をかければ品質は上がります。しかし、時間は有限です。限られた時間的制約の中で、如何に高い価値を出すのかが、プロフェッショナルにとって重要です。

その関係性を図に示します。

クオリティとそのために必要な時間の関係性が、上図の点線のように、正比例しているのは「普通」です。

プロは、短い時間で、高いクオリティに持っていく必要があります(=上図の赤線)。これは、「早いから偉い」と言っているわけではありません。早い段階で、完成品に近いモノをイメージできるか、ということと、また、それを持って顧客(場合によっては上司)と討議できるか、が重要なのです。

尚、「僕は、完成度をあげるのにとても時間がかかるスロースターターなんだよね」という人は、一部の例外的な職種を除いては「論外」であると言わざるを得ません。上述の通り、大半の仕事においては、途中で顧客と摺合せを行って進めていく必要があります。そのタイミングでほぼ無価値な品質のアウトプットが提示された場合には、一緒に仕事ができない奴だな、という評価を貰うことになるでしょう。

(ちなみに、この完成度の上げ方が許容される「例外的な職種」を挙げるとすれば、小説家、画家などの「ひとりで完成品まで持ち込める人」になるのかなと思います。ただ、この人たちは、最終的な顧客=消費者・買い手が受け入れるかどうかについては、完成してみるまで見当も付きませんし、全く逃げ道がないわけです。決して、気楽な商売だとは思えません。)

Quick&Dirty=早いタイミングで、高いクオリティを!

コンサルティング業界では「Quick & Dirty(クイック アンド ダーティー)」という言葉が使われます。

字義通りに捉えれば、「Dirty(完成度は低く)でいいから、Quick(可能な限り早め)に出せ」という「品質<スピード」な雰囲気漂う言葉です。

しかし、実際に「とにかく早く、完成度が低いものを出す」ということを愚直に行った場合には、烈火の如く怒られます。(この「烈火の如く」は完全に字義通りです。念のため。)

コンサルタントに求められているQuick & Dirty とは、「とにかく早く、可能な限り完成度が高いものを出せ」という指示なのです。遅くてもダメ、品質が低くてもダメ。(これは、実はクライアントに対しても同じです。クライアントは目の前にあるアウトプットしか見ていません。そこには言い訳は通用しません。コンサルタントが特殊なわけではなく、単に「常に実戦的なだけだ」とも言えます。)

ですので、「品質が低い(Dirty)」といっても、例えば「グラフの単位をまだつけられていない」とか、「図形のサイズが揃っていない」とか、「箇条書きの書式が違う」とか、「詳細な説明を書ききれていないので口頭で補足します」とか、そういうことなわけです。

参考: もちろん、求められている資料の内容にもよって、許容される品質の「程度」は変わります。戦略策定などの初期フェーズに置いては、「これから検証(調査、分析)します」という仮説が含まれている場合もあり、その場合は、上記よりも「もやっ」とした状態の資料になります。しかし、それでも、「今の仮説は何か」「その検証のために、何を調べていくのか」「調査・分析の手法はどういうものを考えているのか」について、ある程度固まっていることは必須でしょう。

つまり、時間をかけて良いものを出す、ことを前提にして、中間成果物(Quick時点の成果物)の品質が低い(Dirty)ことは許されません。上図の「普通」「論外」の矢印に沿って品質を上げていては、早いタイミングでのレビューに耐えきれないわけです。

上図「理想」の矢印に沿って品質を向上させることで、左側の注記にあるように「早いタイミングで、高い品質のものをだす」ということが可能になります。

(ちなみに、どれだけ時間をかけてもいいものができない、という人は、残念ながら、根本的に修行が足りていませんので、たゆまぬ努力をお勧めします。)

 

今回は、コンサルタントの「コダワリ」ポイントである「品質」と「納期」について論じました。次回は、これらのコダワリの「評価軸」となる「顧客満足度」と「自分満足度」について論考を進めます。

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