コスト構造を考える/起業に役立つ戦略知識
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- POSTED : 2014.08.15 08:57
f t p h l
自社のビジネスモデルを考える際にコスト構造の検討は避けて通れない
以前ポーター3つの競争戦略を紹介した際に一つの公式をご紹介しました。
WTP(Willing to Pay)-Cost=Profit
利益を上げるにはWTP、つまり価値を上げて価格を上げて行くか、Costを下げて行くかと言う方向になります。つまり、コストはこの公式の2つの変数のうちの一つと言うことで非常に重要なテーマです。コスト構造を把握すると言うことは、自社のビジネスモデルを考える、収益モデルを考える際に非常に重要な要素になります。
弊社のビジネスはマーケティング領域の戦略コンサルティングにビッグデータの分析やアナリティクスを組み合わせたものなので、基本の収益モデルはコンサルティング会社の収益モデルと変わりません。つまり労働集約型でレバレッジが効かないモデルです。この業態は規模成長しても、範囲の経済が効く以上に人の確保が難しくなる業態なので 、規模を追うことにメリットが現れない業種の一つです。ですが、たまにぼぉーっとしながら新規事業のプランを考える際に、別のコスト構造のモデルでビジネスを構築できないかな、と考えたりしています。
コスト構造を考える6つのパターン
コストのレバーが何に効いているのかな?と考えながら、何かうまい策はないかなと考えるのですが、私が意識するのが以下6つのコスト構造のパターンです。
- 規模の経済
- 範囲の経済
- 密度の経済
- 経験の経済(経験曲線)
- オペレーション効率の経済
- 場所の経済
上記のうち、4,5,6は勝手に私が○○の経済と読んでいるだけで、世の中にある言葉ではありませんのでご注意ください。
1.規模の経済
規模の経済はご存知の方も多いと思います。鉄鋼や紙パルプなどの装置産業の場合は、大きな投資をして設備を導入して、その設備をなるべくたくさん使った方が製造原価に占める単位コストが下がるというものです。一昔前は、インドの病院などは非常に高価な医療機器を導入し、それを大量の医者とともに24時間稼働させることで高度医療を安価に提供すると言うモデルがあったようですが、それらもある意味規模の経済と言えると思います。高い設備を入れて、使いまくることで単位コストを下げて勝負するモデルは、我々の業界で言えば一昔前なら非常に高価な分析システムを導入して、クライアントからデータ分析を受託して結果として提供すると言うサービスもあったでしょうが、現在は分析環境はAmazon AWSなどによるクラウドの対等により、規模の経済は成り立たなくなりました。
2.範囲の経済
ビジネスの範囲を広げるが、基本となるコストはあまり増えないため、結果的に単位コストが下がって行くと言うモデルです。共通の本社コストが大きく、それぞれの事業ユニットを複数展開しても共通の本社コストがあまり増えないなどの場合は範囲の経済が効いていると言えます。人によってはECなどは規模の経済と捉える人もいるようですが、ECのプラットフォームを作り、その上に乗せる商品数が増えてもECプラットフォームのコストはあまり増えないので、これらも範囲の経済と捉えることができます。知的産業の場合は、範囲の経済を効かせに行っても、共通コストのバックオフィスやブランド広告費用などの単位コスト削減分よりも、社員数を増やす過程でいまいちな人材が増え、プロジェクトのデリバリーをしくる可能性が高まり、結局労働生産性が落ちるので、ある一定規模以上にはなかなか成長しにくい形になっています。
3.密度の経済
通常ドミナント戦略などと言われることが一般的かもしれませんが、あるエリアに密集することにより、コスト構造的に有利に働くパターンです。コンビニエンスストアなどが代表例ですが、ある一定エリアに集中して出店することで、物流面やブランド宣伝面などで単位コストを削減して行きます。
4.経験の経済
通常は経験曲線と言われるものです。製造業などにおいてよく言われていますが、累計での生産回数が倍になるごとに、生産回数あたりの総費用(生産、管理、マーケティング、販売を含む)が一定かつ予測可能な速度で減少すると言うもです。ざっくり言ってしまえば、慣れると生産性があがり、その生産性の上がり幅は想定できると言うものです。ただし、国によっては怪しい国もあります。飲食業の店員などでも本来は経験曲線は効くはずなのですが、労働者の供給よりも需要が過多の国では、人がすぐに辞めてしまうので、経験曲線がまったく期待できないこともあります。笑
5.オペレーション効率の経済
コンサルティングの仕事に携わると、行列とか、混雑などと言う出来事に遭遇すると、何かの対処策や改善策を検討したくなるのが悪い癖です。オペレーションを改善すると一気にコスト構造を下げられる可能性があるケースもあり、コスト構造で大きな割合を占める業務領域があればその辺は狙いめになります。特に近年では、テクノロジーを活用する、データを活用するなどでイノベーションの可能性が広がってきました。
6.場所の経済
これは参入時に避けようと思うモデルですが、コスト構造で大きな割合を占める部分を外部企業や海外などに移転させることにより大きなコスト削減を得られるケースです。特に海外に移転すれば誰でもできる、そこに何の障壁もないと言う場合は、早晩まねされて差別性がなくなることが目に見えています。また、自分が自社や日本に固執して高いコスト構造でやっていても、他社に安価な場所に移転されたらそれでジ・エンドになるので、極力そのような戦いは避けるべく注意が必要です。
きっと他にもコスト構造のモデルはあるのでしょうが、私はこの6つなどを順にローテーションしながら、何か面白いモデルが作れないかなと考えております。
本記事は私が起業して経営を行う際に役にたっていると感じている経営戦略の小ネタを備忘録的に記事にしているシリーズものですが、あくまで備忘録的に書いてあるため、テーマが全体を通して構造化されていない点はご容赦ください。
f t p h l