【”考え方”を考える】フレームワークの活用:6バブル(Six-bubbles)とは何か

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フレームワークを「自分のモノ」にするには?

皆さんは、6バブル(しっくすばぶる)というフレームワークをご存知でしょうか。

このフレームワークは、非常に良くできていますので、組織における「改革の全体像」を捉えていくときには、僕は今でもこっそりノートに書いてみて、あれやこれや試してみています。

今もアクセンチュアにおいて現役で使われているフレームワークなのというと、かなり疑問なのですが、僕自身はとても気に入っている「この図」を読み解きながら「フレームワークを活用する」という際に、何をどのように考えるべきかを論じていきたいと思います。

何が書いてあるのか を”自分なりに”理解する

「フレームワーク」を使いこなすためには、まず、そこに何が書かれているのかを愚直に読み解くことが大切です。

このステップをすっ飛ばして、自分の頭で考えないままにフレームワークを使おうとすると、大事なところでロジックが破綻します。

では、この図(再掲)には、何が書かれて/描かれていますか?

「円」が6つ並んでいる

シックスバブルと言うだけあって、円(きっと、泡なんでしょう)が、6つ並んでいることが分かります。この時点で、それぞれの「形が同じ」ということは、「レベル感」「意味合いとしてのカタマリの大きさ」「意味する概念の大きさ」といったあたりが”同じもの”が6つある、ということが分かります。

「円」の並び方には規則性がある

上下に3段に分かれており、最上段は1つ、次の段は2つ、一番下の段は3つ、の円が描かれています。コンサルの視点でみれば、「上」と「下」の配置には意味があるはずです。たとえば、「下」は実行レベルで「上」は概念レベルであったり、「上」を「下」が支えているという構造であったり、という意味があるだろうと予測されます。また、下に行くほど数が多いので「下に行くほど具体的になっている」のかもしれないな、なども連想させます。

隣り合う「円」は、重なっている

そして、それらの円が相互に重なり合っていることが分かります。このことから「隣り合う円には、互いに関係性がある」のではないかと予測させます。反対に言うと、一番上と一番下は「直接的に関係しない」のではないか、ということになります。(例えば、「田の字」で有名なBCGマトリックスでは、隣り合うブロックには”関係性”がありません。あれは、縦横の線によって区分された「それぞれのエリア」に意味があるのです)

「円」には、それぞれ文字が書かれている

ここまでシックスバブルを「図」として見てきましたが、上記を踏まえて、中を観ると「文字・言葉」が書かれていることがわかります。一番上が「Strategy Intent(戦略的な意図)」、その下の2段目が「Business Process(ビジネスプロセス)」「Behavior(振る舞い・行動)」、最下段は左から「IT(情報技術」「Organization(組織)」「Human Resources(人材)」となっています。

この「文字」と「配置」を踏まえて、シックスバブルを自分なりに読み解く・解釈する、ということが重要です。

”田中なり”の解釈

それらを踏まえて、僕は、このシックスバブルを以下のように解釈しました。(もちろん、ここに至るまで、いろんな方がインプットをくれたおかげで、この結論にたどり着きました。)

  • この図は、会社組織全体の「ビジネス運営」に関する概念をマップしている
  • 隣り合う円=概念は、相互に作用する。反対に、隣接しない円=概念(例えば、ITとBehavior)は影響しあえない
  • Strategy Intentは、最上位概念であり非常に抽象的である
  • そして、そのStrategy Intent(戦略的にどうしたいのか)が、Business ProcessやBehaviorに影響を与える
  • IT/Organisation/Human Resourcesは、ビジネス運営を「下支え」する具体的なものである
  • ビジネスを円滑に運営する際に、最も重要なのは Behavior であり、これを変えるために他の円(概念)は連動して動かねばならない
  • そして、 IT は、 Behavior に直接的に影響を与えることはない

業務改革とは何なのか

これを踏まえると「業務改革」とは何か、という問題に突き当たります。

一般的に、BPRプロジェクトが「業務改革」であると言われます。しかし、BPR=Business Process Re-engineering ということは、この図のなかの「二段目の左側の円」だけを改善しているにすぎません。BPRを行っても「ビジネスプロセス=業務フロー」が変わるだけです。やはり、BPRの結果「Behavior=人々の振る舞い・行動、即ち、日常の業務運営スタイル」が変わることにこそ最終的なゴールがあるはずです。

IT改革、組織改革なども全て同じ話です。もっといえば、戦略策定も同じです。

如何に綺麗で美しい戦略を描いても、理路整然とした業務フローを描いても、最新の技術を駆使したシステムを作っても、ミッションが明確な組織を定義しても、そこに最高の人材を配置しても、最終的に「人の行動」が伴わなければ意味がないわけです。

従って、業務改革プロジェクトと銘打った「BPRプロジェクト」を行う際にも、「どんな戦略的な意図があるのか」「そのために、どういうITが使えるのか、もしくは今後用意するのか」「組織変更はどの程度柔軟にできるのか、あるいは、制約事項と見做すべきなのか」を考える必要があります。(※ポイントとして、どういう人材が必要なのか・どうやって採用/育成していくのか、は、”Business Process”には直結しません。組織変更の結果、検討の必要性が生まれます。)

フレームワークを読み解くと、自分の「武器」が増える

このように「フレームワーク」を自分なりに解釈することができれば、様々な事象や問題に対して、このフレームワークを活用することができます。

そして、歪みがない理路整然とした”解釈”を伴ったフレームワークは、非常に強力な武器となります。本質を理解しておけば、どのようなシチュエーションでも活用できるわけですね。

次回は、この「シックスバブル」を、実際にプロジェクトに適用した例をご紹介します。

 

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