アクセンチュア関一則氏対談 ①:「Direct to Consumer」の潮流 〜デジタルマーケティングの前に知っておくべきこと~
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- POSTED : 2014.06.09 09:01
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アクセンチュア製造・流通本部で一般消費財・サービス業界グループの統括リードを務められている関一則さん。営業・マーケティング領域を中心に、戦略策定から業務設計・システム化・変革実行推進まで、一気通貫でのCRM改革支援に対して非常に豊富な経験をお持ちです。本日は関さんにデジタルマーケティングに関してお話を伺ってまいりました。
第1回:Direct to Consumerをもたらす環境変化
網野:
本日はお時間いただきありがとうございます。関さんはアクセンチュア戦略グループで長い間トップコンサルタントを務められて、現在はアクセンチュア・ジャパンの消費財業界の統括リードを務められていらっしゃいます。また、かねてからアナリティクスや、デジタルマーケティングの分野においても、非常に尖った最先端の持論をお持ちです。 本日はデジタルマーケティングの本質を考えたく、その背景などを関さん的な考察を交えながらお話しいただければと思います。よろしくお願いします。
(※筆者の網野が2011年にアクセンチュアを退職するまで、関一則氏が上司・網野が部下という関係で、長年に渡り共に業務に従事しました。)
関:
わかりました。ここ数年来の私の取り組み、及び先日日本経済新聞にフィリップ・コトラーの「コトラーのマーケティング3.0」に関する連載記事を書いて、改めて自分なりに現代のマーケティングについて再考しているので、そのあたりをお話していければと思います。
網野:
関さんと言うと「Direct to Consumer(以下DTC)」と言うキーワードを思い出します。元々DTCは製薬業界の用語で、製薬業界などが直接患者に訴求する広告のことを指しますが、そこから派生して消費財メーカーなどが直接消費者に対してマーケティング的な内容を訴求していくことを我々の間では広義な意味としてDTCと呼んでいました。 デジタルマーケティングとはメーカー(生産者)と顧客(消費者)がダイレクトにつながる機会が増えるということだと思います。今の世の中はデジタルマーケティングの取り組みなどはどうしてもツール論やテクニック論など多く目に触れがちです。多少キーワード先行みたいな部分もありますが、まずはデジタルマーケティングとは、そもそもどういう背景で起こっているのかに関して、持論で結構ですのでお伺いできますか。
関:
ここ2、3年で色々な企業がデジタルマーケティングという言葉を使い出しましたが、少なくともまったく新しい言葉ではないですよね。更に言ってしまえば、デジタルマーケティングという言葉だけが先行していることに少し違和感すらも感じてしまいます。 まず「デジタルマーケティング」の事を話す前に、デジタルマーケティングが起こった背景や、そのもとになる本質を捉えて行きたいと思います。 一言で言うと「環境変化」ですね。 その環境変化に対するテクノロジー面での要因はソーシャルネットワークの台頭や拡大でしょう。スマートフォンとソーシャルネットワークサービスというものが組み合わさることで大きな変化が起こった。
網野:
たしかにそうですね。今までは情報の受け手であって消費者、生活者がまずはBlogというソーシャルメディアを得て自分で運営できるメディアの編集長であり、ライターになりました。そして、スマートフォンとFacebookやTwitterの組み合わせにより、その情報をタイムリーに掲載できるようになりました。
関:
そう、その通り。ソーシャルネットワークとスマートフォンにより大きな変化が起こったわけです。ソーシャルネットワークとスマートフォンの掛け算により、圧倒的な消費者の発信力が沸き起こったわけです。これが環境から見る大きな変化です。 そのような環境変化が起こったからこそ、企業側はFacebookやYouTubeにマッチしたマーケティングをもとに、Consumerと企業の関係性を構築せざるを得なくなったわけです。デジタルマーケティングとは、消費者が圧倒的な発信力を持ったこの時代における企業とConsumerとの新たなリレーションシップであると考えます。 ソーシャルネットワークサービスは、世の中に大きな変化をもたらし、そこにスマートフォンが組み合わされることで、その変化がさらに拡大しました。 これこそが環境変化に対する二大エンジンとも言えます。
網野:
消費者が圧倒的な発信力を持った世界に変化し、消費者と企業の新たなリレーションシップが求められるこの時代に、その関係をどのように築くべきかという問いが先にあるべきで、ツールやテクニック論はその先にある手段であると言えるわけですね。
関:
企業の視点に立てば、ソーシャルネットワークサービスはソーシャルな「メディア」でもあるわけです。そうしたメディアに対して企業側が比較的リッチなコンテンツ、例えば動画とかそういうものを発信できるようになっています。 企業側が消費者に感動を与えるようなストーリー、そうしたコンテンツを比較的消費者にダイレクトに届けやすい形で発信することができるようになりました。そうした土壌ができたというのは1つの大きな変化です。 そして、その消費者が一度感動したものに対して「いいね!」や「シェア」、「リツイート」などをすることで、別の消費者に対して波及させていく効果を生み出せるようになりました。これが2つ目の大きな変化です。 この2つの大きな変化が「Direct To Customer」というコンセプトにフィットするものだと捉えています。
(次号に続きます)
連載記事一覧:
- 第1回:Direct to Consumerをもたらす環境変化
- 第2回:消費者に感動を与えるストーリー
- 第3回:公正な時代のマーケティング活動
- 第4回:デジタル・ダイレクト・マーケティング&セールス
- 第5回:データアーティストのモデル
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