ギックスの本棚/Think Like a Publisher ~編集者のように考えよう~ コンテンツマーケティング27の極意
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- POSTED : 2014.03.29 10:26
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目次
文系アタマな貴方に捧ぐ コンテンツマーケティングの基本の”キ”
「アドテクノロジーとかいうけど、DMPとかDSPとか言われても良くわかんないし、ユーザビリティとかマルチデバイスとかってカタカタにはもうウンザリなんだよっ」という文系アタマな人が、上司に「うちもコンテンツマーケってのをやってみたいんだよな!」と言われたときに読むべき本としては最善だと思います。
(ちなみに、「うちもビッグデータでなんかしたいんだよな」と言われたときはコチラですよ。笑)
もはや時代はコンテンツマーケティング!(らしい)
表紙画像にある通り「このソーシャルメディア時代、あなたはいつまで 広告だけに頼るつもりなのか」となかなか断言してくる感じですが、本書の冒頭の”はしがき”でも、同じメッセージが語られます。
しかし、おそらく最も重要なのは、著者のレベッカがこの本の中で詳細に語っている通り、コンテンツマーケティングの他に道はないという事だ。コンテンツマーケティングはもはやオプションではない。あなたがビジネスをより成長させて、新しいお客様を魅了し、既存のお客様とより長く関係を築きたいのであれば、コンテンツマーケティングの戦略が絶対に必要になる。
というわけで、原著が発行された2011年時点で、すでに時代はコンテンツマーケティングだったようなのです。僕たち、遅れてますね。
ちなみに、”はしがき”を書かれている the Content Marketing Instituteの設立者 ジョー・ピュリッジさん曰く
私がコンテンツマーケティングという言葉を使いはじめたのは、2001年ごろに遡る。
とのことですので、2014年を生きる僕たちとしては、その遅れっぷりに頭を抱えてしまうわけですね。
”コンテンツ”の話をしよう
それはさておき、本書の言うとおり「コンテンツマーケティングを避けて通れないものである」としたときに、では、僕たちはどうすればよいのでしょうか。本書は、その部分を解き明かしてくれるわけですが、重要なのは「テクノロジーの話は(ほとんど)しない」というところです。もちろん300ページの本なので、デジタルツールの紹介などもでてきますが、個人的には”そんなのオマケ”なんじゃなかろうかと思います。
実際、本書では「どんなコンテンツをつくればいいのか」「その語り口はどういう風に設定すべきか」「コンテンツのクオリティ担保はどのように行うべきか」などの、実践的な”コンテンツ作り”の手法について、多くのページが割かれています。
つまり、これは「流行りに踊らされて、特に目的を持たずにFBページをつくっちゃった」という企業や、「会社ってのはホームページを持つものだ!だからうちもとりあえず自社サイトを外注してつくったぜ。同業他社と全く同じフォーマットだけどな!」という企業の方こそが、一度読むべき本だと思います。というのも、そういう企業の場合、「”コンテンツマーケティング”とかいう言葉は良くわからんけど、みんなやってる(らしい)からとりあえずやってみたけど、外注任せで自社には何もノウハウが残りませんでしたテヘペロ」的な結果になりかねないからです。
また、本書は「コンテンツマーケティングが非常に大変である」という前提を置き、「その大変さの中で、どういう”コンテンツ”をつくっていけば、なんとかやっていけるか」ということを熱く語ってくれます。(え、そうでもない?僕が偏ってるだけ?)
ちょっとやってみたい!とかで手を出すべきじゃない
本書は「コンテンツマーケティングは避けては通れない道だ!」と言っていますが、ぶっちゃけ、僕としては「いやいや、避けようと思えば避けられるでしょ」と思うわけです。
つまり「興味本位で、無理矢理手を出さなくていいんじゃないかなー」と思います。
もちろん、本書を読んで「ウチでもできる!」「ウチは言いたいことが山ほどある」と思えば、ガンガン行こうぜ!って話だと思うのですが、日々更新していくという事は ”すさまじい労力をここに投下していく” という事を意味します。
Twitterや、Facebookなどをプラットフォームとしてコンテンツを発信していく場合には、比較的、その労力は軽微です(それでも、毎日やろうとすると結構死ねますよね)。しかし、自社サイトやブログなどの「それなりのテキスト量・情報量」を「定期的に」発信していこうとすると、、、何が本業だかわからないくらい大変です。(経験者である僕が語ってますので、これは間違いないです。)
では、どれくらい大変なのでしょうか。本書の主題でもある「編集者になったつもりで考えよう」について語られるChapter 3.から抜粋して引用します。
IBMの最近の発表によると、ブログをはじめた企業の約80%が、5つ目の投稿をする前に早くも更新をやめてしまったという。
(中略)
にわかに活気づいたコンテンツマーケティングブームの中で、多くのマーケターが忘れているのが、継続的に情報を発信するための基本的な心構えだ。
ええ。そうなんですね。8割の企業が ”一瞬” で心が折れるわけです。いやはや。あなたのブログ、更新されてます?TwitterとFacebook両方とも、ちゃんと使ってます?結構大変ですよね。ほんとに。そして、更新されない会社のサイトがある=やる気がないんですよーと、わざわざ世間様に大声でお伝えしている、ということになっちゃうわけですね。いやはや。
さらに、このチャプターでは「コンテンツの真のプロになるための14のステップ」ということについて語られます。”編集者”として、どういう情報を、どのように発信していくかを考えるためのフレームです。(見出しのみ抜粋します)
- 読者を知ろう
- カギとなるテーマとメッセージを設定しよう
- 更新頻度を決めよう
- 詳細な編集カレンダーを決めよう
- お決まりのコンテンツをつくろう
- インタビュー記事を作ろう
- マルチメディアを使いこなそう
- エキスパートの力を借りて、道先案内人になってもらおう
- ユーザーが作成するコンテンツの力を借りよう
- ニュースへの見解を述べて、編集をしよう
- コメント機能をオンにする
- 注意深く耳を傾けよう
- リサイクルしよう
- 見込客の属性を把握しよう
この中で、とても重要なのは、2と3ですね。
まず、最初に、2です。言いたいこと・伝えたい事は何か(となると、1の「誰に?」も重要なわけですが、とにかく先に”2”です)というか、そもそも言いたいことがあるのか?という事が大問題。
次に、3。で、どれくらいの頻度で情報発信できるの?っていうか、どれくらいの頻度で発信できるような体制をつくるのor工数を投下するの?
この2つの問に答えられないままスタートすると、爆死決定です。反対に言うと、これに答えられるのなら、後は「HOW」の話なので、本書を読んで、コンテンツマーケティングの海に漕ぎ出しましょう。(まぁ、仮に遭難しても死ぬわけじゃないので、そういう意味では気軽に行けばいいわけなんですけどね。)
(参考)じゃぁ、GiXoはどうしてるのか
本書は「みんな!もっともっとコンテンツマーケティングしようぜ。へぃへーぃ。」的な本です。それなのに、なぜ僕は延々とネガティブな立場をとっているのか。それは、GiXoのウェブサイトが「コンテンツマーケティング」をやっており、そして、それが死ぬほど大変だからです。お読みいただいているこの記事もそうですが”毎日、必ず1記事以上アップする”ことを前提として運営しております。ええ、それはそれは、超大変です。もうね、笑っちゃいます。ははは。週末、なにそれ、美味しいの?状態です。マヂで。
そんなGiXoは、上記14のポイントについて、どのように対応しているのかご紹介します。
- 読者を知ろう
→弊社のサイトはPV至上主義です。見込み客を狙うのではなく「マーケティングに興味がある人」「戦略コンサルティングに興味がある人」「データ分析に興味がある人」をターゲットにしています。 - カギとなるテーマとメッセージを設定しよう
→弊社の役員の出自である「戦略コンサル」「アナリティクス」領域における”切り口”、”考え方”を発信する。 - 更新頻度を決めよう
→毎日。最低1記事。(複数記事UPは大歓迎) - 詳細な編集カレンダーを決めよう
→ネタ出し・コンテンツ作成のスケジュールを決め、最低でも2~3週間分のコンテンツを事前作成しています。納期通りにコンテンツが出てこないとかもザラにあるので、予備コンテンツをどれくらい用意しておくかが非常に重要です。とっても大変です。 - お決まりのコンテンツをつくろう
→本書で紹介されたような”泥臭い” ”ベタな” コンテンツは用意していません。つまり、死ぬ気で記事を書く、ことを選んだわけです。おかげさまで、もう死にそうです。 - インタビュー記事を作ろう
→取り組んでいます。コチラのカテゴリがそれですね。 - マルチメディアを使いこなそう
→コンサルっぽいチャートなどに加え、動画なども作成して活用しています。読者の興味を惹くためというよりは「内容の分かりやすさ」「伝えるためのサポート」という意味合いが強いです。 - エキスパートの力を借りて、道先案内人になってもらおう
→外部のエキスパートにご寄稿頂いています。例えばコチラ。 - ユーザーが作成するコンテンツの力を借りよう
→現時点ではトライしていません。 - ニュースへの見解を述べて、編集をしよう
→NEWSななめ斬りbyギックスということで、実施中です。このギックスの本棚も、ニュース編集に分類されるかもしれませんね。 - コメント機能をオンにする
→FBやTwitterでのコメントやシェア、RTなどで代替しています。 - 注意深く耳を傾けよう
→コンテンツのためというよりも、コンサルタントとして、世の中のトレンドを”傾聴”することがとても重要だと思っているため、あまり意識していません。例えば、書籍・雑誌については、弊社は「買いたい放題」です。その代り、買ったら何かしらOUTPUTする、のがルールです。自社Webに記事としてアップすることに限らず、社内メンバーに知識をシェアしています。 - リサイクルしよう
→講演等で使用した資料をベースに連載記事を書いています。例えば、THINKに掲載された「あなたはそのアイデアに気づけるか」や、学生向けの講演をベースにした「プレゼンのコツ」などがそれにあたります。 - 見込客の属性を把握しよう
→冒頭書いた通り、自社サービスに対する見込客獲得は副次的なものですが、サイトの訪問者=メディアの読者の獲得は至上命題です。読者が知りたいことが何かを考えて、記事作成に努めています。
と、まぁ、こんな感じです。ね。死ぬほど大変そうでしょ?(笑 って、笑いごとじゃないんですよ。ほんとに。
作成 + 収集→選別→編集
とはいえ、大変さばかりをご紹介していても仕方ないですね。愚痴っぽくてスミマセン。
そこで、最後に、本書から得た学びを、一点ご紹介しておきます。Chapter 8 コンテンツの選別と収集 より引用します。
コンテンツのキュレーションやアグリゲーションとは、ターゲットに向けてあらかじめ設定された基準やテーマに沿って、デジタルコンテンツを、選定眼を持って積極的に発見、収集、整理、表現、共有を行うアプローチだと定義できるだろう。それはマーケティングとブランディングのためだけでなく、ジャーナリズムや報道、そしてしばしばソーシャルメディアで顕著な、バラバラに点在するチャネルのマッシュアップのために必須のアプローチとなる。
つまり、コンテンツを自分でゼロからつくるのは大変だから、世の中に散らばるコンテンツ(の種)を集めて(アグリゲーション)、選別して(キュレーション)いきましょう、とおっしゃってるわけですね。
これは、非常に良いアドバイスだと思います。そして、この部分を読んで、僕は「コンテンツクリエーター」「アグリゲーター」「キュレーター」「パブリッシャー」という4つのスキルで整理することを思いつきました。
コンテンツ作成ができる人は、コンテンツを量産しましょう。もし可能ならば、パブリッシャーとしての視点も踏まえて、そのまま発信できる形で生成することが望ましいです。一方、ゼロからのコンテンツ作成か困難な場合は、収集・選別に力を注ぎましょう。その上で、最終化すれば、比較的コンテンツ作成が容易になると言えるでしょう。
是非、コンテンツ作成チームに、これら4つのスキルのある人材をキチンと配置し「日々、大量の工数を投下するのだ」という”覚悟”を持って、コンテンツマーケティングに取り組んでいただければと思います。「自分がどれだけ真剣にやったかを”自分が”判断できる」「努力と成果の関係性がわかりやすい」という特徴を活かし、”自己批判精神”を持って取り組むことができれば、成果が出ることは間違いないと思いますよ。ホントに。
尚、手前味噌ですが、現在幣サイトにて「企画部門が考えるべきFacebook運用」も連載しています。本稿の冒頭で申し上げた「流行りに踊らされて、特に目的を持たずにFBページをつくっちゃった」方向けの連載ですが、本書の内容とも相通じる部分があると思いますので、よろしければご一読いただければと思います。
~編集者のように考えよう~ コンテンツマーケティング27の極意
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