現場に変革を:現場のDI
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- POSTED : 2022.12.10 09:21
f t p h l
おさらい:2種類のDI推進
昨日ご紹介した通り、DI(データインフォームド)を推進するにあたっては、大きく分けると「現場のDI」と「企画のDI」の2種類が存在します。
本日は、この左側「A. ”現場”に気付きを」についてご紹介します。
架空事例で知る「現場のDI」
前回記事では、以下の4つを「現場のDI」の例として挙げました。
- 百貨店の販売員が、目の前のお客さんに何をお勧めするかを決める
- タクシーの運転手が、どのルートを通って目的地を目指すのかを決める
- 家電の訪問修理担当者が、毎朝、どのくらいの在庫を車に積んでおくかを決める
- コンビニの店長が、どの商品をいくつ発注するのかを決める
この記事では、「仮に、上記のような身近な例を当社がプロジェクトとしてお受けしてDI推進を試みるとするならば、、、」という建付けで、DI推進の進め方や内容をご紹介していきます。なお、当社はクライアント企業のクリティカルな経営課題解決に関与する立場にあるため、守秘義務契約が存在しております。そのため、こうした場で実際のプロジェクトの内容をお話しすることは叶いません。あくまでも架空の事例をご紹介します。そのため、ここで記載する分析手法等についても、実際よりもシンプルなものに留まっている点もお含みおきいただければと思います。
本日は「百貨店」の架空事例をご紹介します。
例)百貨店の販売員へのリコメンドアルゴリズムの検討
ECの領域では、顧客への商品・サービスのリコメンド機能は至極当たり前のものとして存在します。しかしながら、リアルチャネルにおける対面販売においては、直接的に顧客に商品をリコメンドするというシーンは限られています。(もちろん、飲食店などでタッチパネル画面に「本日のおすすめ」などを表示することはあるでしょうが、個人別のカスタマイズが為されているわけではなく、すべて一律のルールベースの表示になっていると考えられます)
では、リアルチャネルにおける接客シーンで、どのような形でリコメンド機能を実装するのが良いでしょうか。
ギックスのアプローチでは、「接客担当者」がDIになることを目指します。
接客担当者が、データを用いたインプットを得て、それを元に論理的に考えて、合理的な判断を下すことを目指します。
顧客の過去の購買データに基づいて、どういうタイプの商品を、どういうタイミングで購入しているのかを理解しようとします。
好きな色の組み合わせや、好みのブランド、衣服のタイプを導き出します。セール品を好むのか、新作を欲しがるのか。サイズ感は、ゆったりしたものとタイトなもののどちらを好むのか。そうしたことをデータから読み解きます。
そこに、今年の流行のカラーやデザインを掛け合わせて、「その人が欲しいと思いそうな商品」のランキング(正確にはスコア)を出します。
このランキングを、接客担当者の手元のタブレットに表示することで、接客担当者は「どの商品をお勧めするか」を、タブレットに表示された客観的なデータと、自分の頭の中の主観的な情報を組み合わせながら考えることができます。まさに「データ ”も” 用いて考える」わけです。
アルゴリズムによってリコメンドされたものが、必ずしも正解であるとは言えません。アルゴリズムには限界があります。そもそも、その人が、別の百貨店やアパレルショップで購入した服の情報は、購買履歴からは導き出せません。
もっとシンプルに言えば「その人が、今日、何を着ているのか」さえも、アルゴリズムの計算においては加味されないのです。
さらに言えば、目の前の顧客が「過去に買っているものと、似たものを買いたいのか」「少し新しいものに挑戦したい気分なのか」も、アルゴリズムにはわかりません。
そのため、接客担当者が、相手との会話の中で、リコメンドリストを”参考に”しながら、何を提案すべきかを考えることが重要になってきます。これが、現場のDIが目指す姿です。
一方で、「過去の購買傾向と類似したお勧めランキング」とは別に、「新しいものに挑戦したい人向けのお勧めランキング」の2種類を用意しておくことは可能です。後者は、「今まで買ったことが無い色」「今年の流行色・流行デザイン」などの優先度を高くしつつ、昨年の同時期(つまり同じ季節)に購入したものとのコーディネート性などの観点でランキングを作ります。
この2種類のランキングを、タブレット上で切り替えることで、接客担当者は、顧客が求めるものを探すことができるのです。
接客後に、「どの商品を購入したのか」は購買履歴として残りますので、次回以降の接客に活かされます。
それに加えて、「どの商品を勧めたか」「その商品に対する反応は良かったか」「ランキング外の商品で反応が良かったものは何か」などの情報を接客担当者が入力することにより、アルゴリズムの精度を高めることも可能です。
今回の例における現場のDI、すなわち、現場のデータインフォームドは、現場の接客担当者が、「データ ”も” 用いて、自分の主観的情報(勘・経験)を補強しながら業務を行う」ようにガイドする仕組みと、それを活用することで変革された接客担当者の行動(ビヘイビア)なのです。
「現場のDI」の考え方
上記に限らず、世の中には、さまざまな「現場のDI」の適用機会が存在します。
例えば、機械のログを用いて、故障リスクを把握したり、交換・メンテナンスのタイミングを推奨することも可能です。
単に「故障リスクが高い」ということを知らせるべきか、「交換・メンテナンスの推奨」まで踏み込むのかは、クライアント企業の状況によって異なります。
現場のDI推進にあたっては、その現場がどのような業務ルールに基づいて、どのような運営方針に則って動いているのかを重視します。現場の担当者がが判断する際に、どういう情報を、どういう形で提供すれば、もっとも良い結果につながるのか。
お仕着せにならないデータ分析。実務に寄り添うデータ分析。そういったものをクライアントと二人三脚で模索していくことが、DI推進の要だと言えます。
DIコンサルティングによって、そうした「各社・各組織の状況に応じた最適なDIの在り方」を見出し、それをDIプラットフォームによって仕組み化し業務に組み込む。これが、私たちの提供価値です。
明日は、「企画のDI」について、ご紹介します。
f t p h l