「フルマネージド」クラウドサービス~第三回・実例1「Tableau Online」~

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フルマネージドのアプリケーションサービス。今回は「Tableau Online」を紹介します

本連載は全五回で「フルマネージド(Fully Managed)のクラウドサービス」について書かせていただいています。前回はフルマネージドサービスの登場によって新たに生まれた「贅沢ともいえる問題」について説明しました。(具体的には「クラウドデータベースを使えばデータベースのバックアップや障害時の自動復旧をしてくれるのに、アプリケーションが稼動するサーバに関しては、これを自分たちで行わなければいけない。せっかくここまで便利になったのだから、これもやりたくない。」という問題でした)。第三回である今回と次回はこの贅沢な問題に対してのクラウドサービスが示す解決策を例に挙げながら具体例を説明します。キーワードは「フルマネージドのアプリケーションサービス」です。ちなみに「アプリケーションサービス」の言葉には「サービスの対象として”業務アプリケーション”を提供する」という意味が込められています。

今回、次回と例として以下2つの例を挙げます。

  1. Tableau Online(今回)
  2. Microsoft Power BI(次回)

Tableau Online

Tableau Onlineはデータの見える化ツールとして有名な「Tableau Server(タブローサーバ)」の機能をクラウド上で提供する「フルマネージドのアプリケーションサービス」です。Tableau社が提供しています。

元々の製品である「Tableau Server」は購入(=ダウンロード)した後に自分でTableau Serverを稼動させるコンピュータに対してインストールを行った後にTableau Serverを稼動させます。運用作業も構築者が自身で行います。前回説明させていただいたとおり、この形態で構築された「Tableau Serverが稼動するサーバ」は「フルマネージドのクラウドサービス」を「利用していない」事になります。

対して「フルマネージドのクラウドサービス」である「Tableau Online」は「Tableau Serverが稼動しているサーバ」をクラウドサービス提供者であるTableau社が用意しているサービスです。「Tableau Serverの機能そのもの」は「Tableau社のクラウドサービス」に包含されている為、Tableau Serverそのもののインストールも不要で、運用作業も非常に軽微な物となります。

ここで「Tableau Server」の製品機能を少しだけ説明します。Tableau Serverはそれ単体では何の機能も持ちません。データ分析結果を見たい人(お客様)に対して見せるべきデータが何もないからです。分析データの提供者は、お客様に提供する「データ」と「そのデータをどのように見せるか(グラフの形は棒グラフ?折れ線グラフ?割合表示はパーセント?小数点表示?)という作画情報」を「twbxファイル」という「Tableau定義体」として作成します。分析データの提供者は、この「Tableau定義体」を「Tableau Server」に格納します。データ分析結果を見たい人(お客様)にとって価値のあるデータはこのTableau定義体の中にある情報です。その意味では「データおよびアプリケーションの本質」は、この「Tableau定義体」にあるといえます。Tableauの仕組みの中では「Tableau定義体」こそが「業務アプリケーション」なのです。つまりTableau OnlineやTableau Serverは業務アプリケーションである「Tableau定義体」がファイルとして分離されていることによって「業務アプリケーションと稼働環境が密に結合していない」状態を実現しているのです。

ここからフルマネージドのアプリケーションサービスである「Tableau Online」の魅力を説明します。上記の通りTableau Onlineは「業務アプリケーションと稼働環境が密に結合していない」状態を実現しています。この事と「Tableau Online」が「フルマネージドのクラウドサービス」である事が出会ったとき、何が起こるでしょうか?

そうです!「業務アプリケーションが搭載されるサーバに関しても、煩雑な運用作業がほとんど発生しない」という「問題の解決」がもたらされるのです。

「アプリケーションと稼働環境が密に結合していない」Tableauの業務アプリケーション(=Tableau定義体)は「Tableau Server」の機能を「フルマネージドのクラウドサービス」として提供する「Tableau Online」上で稼動する事によって

  • 業務アプリケーションを提供する
  • でも、フルマネージドのクラウドサービスだから運用作業は軽微

という「好いトコ取り」を実現しているのです。

次回は「Microsoft Power BI」を紹介します。

本連載について

 

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