ID-POS分析とは(後編) ~POS分析の3ステップ。大事なのは”基本”から始めること~ |データ分析用語を解説
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本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)
「基本」は、とっても大事です。
前編はコチラから
みんな「応用編」が好きだけど、ちょっと立ち止まってみませんか?
前編で述べたとおり、POS分析には3つのステップがあると言えます。しかし、その3つのステップに分けたとき、多くの方は「いきなり、最高難度の”ID-POS×会員属性”分析からやりたい」と、なってしまいがちです。
もちろん、難しい分析をやれば、それだけ得られる果実が「大きそう」だと思ってしまう気持ちは理解できます。(Mr.Childrenの曲でも高ければ高い壁の方が云々というくらいですし)
しかし、冷静に考えてみましょう。
何を知りたいのか、が分からないのに、闇雲に前に進むべきではない
ID-POSデータを会員属性情報と紐づけて分析するという場合、すさまじくザックリいえば、やっているのは「セグメンテーション」および「セグメント間の比較」です。
これは「ある”部分集合”」と「別の”部分集合”」を比較して、その差異に注目して分析しているわけですね。もちろん、これによって、面白い発見ができることは多いです。非常に重要な分析であることは間違いありません。
しかし、その比較は「経営にとって、今、この瞬間に、どれほど重大なこと」なのでしょうか? 別の言い方をするならば「それは、本当に、経営層や上司が、今知りたいことですか?」という問いに、きちんと答えられるかどうか、ということです。
ちゃんと全体間を掴まないと、”変な方向”に進んでいるかも・・・
POSデータ分析や、ID-POSデータ(トランザクション)の分析は、全体を捉えるのに適しています。できるだけ粒度を大きく捉えて分析をしていく中で「どこに収益のポイントがあるのか」あるいは「経営上の課題があるのか」などをしっかりと見出していくことが重要です。(いわゆる”仮説思考”というものです)
そこで「ここに、何か問題がありそうだ」あるいは「ここには、なにか理由が潜んでいそうだ」などが見えてくれば、その部分を深掘りするために、会員属性情報などを用いて”仮説検証”を進めていけばよいのです。
最初の「全体感を捉える」「大局観で物事をみる」というステップを怠ると、木を見て森を見ず、ということになりかねません。
みんなで、もっと「データ」を見よう
理想を言えば、担当レベルの方も、自分の担当しているカテゴリや領域だけの情報ではなく、もっと広い範囲の情報(他カテゴリ、他店・他エリア、他部署など)を幅広く見て”仮説”を立ててみるべきです。できるだけ幅広く物事を捉えて、自分の担当しているカテゴリ・領域が、全体の中でどういう役割を果たしているのかをしっかり理解していくことができれば、分析において迷子になりません。
そして、さらに理想を言えば、経営層・管理職の方々にも、もっといろんなデータを見ていただきたいと思います。(もちろん、もっともっと生データが見やすい形で提供される前提ですが。)例えば、特定セグメントに限定されたデータだけで報告されると、全体の中から、何故、そのセグメントを切り出したのか?について説明を求めたくなりますよね。それを、部下に問うのではなく、自分でも見るようになれると素晴らしいと思うのです。もちろん、忙しくて全てを見ることは難しいでしょうが、できるだけ、積極的にデータに触れていきましょう。
これが実現されれば、「大きなカタマリからデータを見ていかないと、とんでもない勘違いをしてしまったり、業務上役に立たない分析に時間を費やすことになるんだよ」という共通認識が組織内に生まれることになります。
POSデータ分析に限らず、最も小さいな単位での(この場合はID-POS×会員属性情報)分析に拘泥せず、大局観のある分析を「最初に」行うことを忘れないようにしていただければと思います。
データ分析用語:索引
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