情報系システムと基幹系システムを融合するのは「テレビデオ」みたいな感じ
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本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)
一見すると便利なものは、本当に便利なのか?
みなさんは「テレビデオ」というものをご存知でしょうか。
出所:wikipedia→ http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/b/b6/CRT_televisietoestel.jpg
30代半ば以上の人ならご存知なハズなので、知らない人は若者認定で良いと思うこの物体は、テレビ+ビデオでテレビデオという天才的な閃きによってつくられた素敵なプロダクトです。尚、30代前半よりも若い方は「DVD Player 一体型 液晶テレビ」のことだと思っていただければと思います。
テレビデオは、テレビとビデオが一緒になって便利!なのだろうか?
テレビデオは、文字通りテレビとビデオが一つになっています。ですので「ビデオを見るために、配線をつながなくて良い」という画期的な効能が得られたわけですね。しかも、置き場所にも困りません。なんせ、一体型ですから。
しかし、この「一体型」という機構は、同時に大きな問題を抱えています。
ビデオが壊れたら・・・?
さて、ここで問題です。テレビデオの”主たる目的”は何でしょうか。そう「テレビを見ること」ですね。そこに”付加的な要素”として「ビデオ録画/視聴ができる」という機能がついています。
その際に「ビデオが壊れたら」どうなるでしょうか?もちろん、テレビを見るのには支障がないので無視する、という手もあります。”ちょっと重くて、余計なものがついてるテレビ”として扱えば良いとも言えます。しかし、さすがに修理したいなーと思う人が多いと思うんですよね。そうすると、修理に出すことになります。
ビデオ機能が直るまで、家からテレビがなくなってしまいます。これは、”付加的な要素”のために、”主たる目的”が果たせなくなっている状態と言えるでしょう。
VHSが時代遅れになったら・・・?
別のシチュエーションを考えてみましょう。VHSは最早「死滅した」と言ってよいメディアですね。と、なると「テレビは現役」「ビデオは化石」という状態になります。そのときには、「ビデオのことは忘れて、外付けDVDプレイヤーを買おう」という話になります。
この状態は”余計なものがくっついた状態”を許容することになります。使わない機能が残っているということは、そこに埃が溜まって電気系のトラブルを起こす、などのリスクだけ抱えることになります。
地デジ化したら・・・?液晶テレビが登場したら・・・?
反対に、アナログテレビがVHSよりも先に駆逐されていたらどうなっていたでしょうか?テレビは見られないが、VHSは見られる、という状態になります。これも、本来の目的を果たせない”付加機能だけのゾンビ状態”になるということを意味します。
あるいは、液晶テレビが登場したら?
このように、テレビデオは「時代のあだ花」として、華々しく咲き誇り、そして散って行ったわけです。
翻って、情報系システムと基幹系システムではどうなのか?
さて、情報系システムと基幹系システムについても、同じことが言えるのではないでしょうか?
- 一体型で便利:基幹系からデータを直結して、レポートを出してくれます。処理速度は速いでしょう。
- 情報系システムが壊れたら?:情報系システムを改修する=基幹系への影響を考えた膨大なテストケースが発生し、時間もコストも嵩みます。
- 情報系システムが時代遅れになったら?:一体型になっていると、ソフトウェアのサポート切れに伴うバージョンアップなどにおいて、基幹系に影響がでます。
- 基幹系システムが時代遅れになったら?:情報系システムが現役だとしても、一緒に捨てることになります
システムとは、やりたいことを実現するための道具です。やりたいことを先に見極めて、「何と何を一緒にして、何と何は別物にするのか」を整理しておかないと、思いがけないリスクを背負うことになります。
尚、情報系システムと基幹系システムの違いについては関連記事「基幹系システムと情報系システム ~基幹系と情報系は”分ける”のが鉄則」で詳しく語っていますので、そちらもご一読いただけますと幸いです。
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