ビッグデータ活用事例(7)R&D領域/会社を強くするビッグデータ活用
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- POSTED : 2014.02.06 09:05
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この連載では「会社を強くする ビッグデータ活用入門 -基本知識から分析の実践まで-」で取り上げたビッグデータやアナリティクスの活用事例を抜粋し、ご紹介していきます。
書籍の中では大きく2つの場合で事例を区分しており、合計8回にわたり、「自社活用:自社の競争力強化にビッグデータを用いている事例」」のビッグデータやアナリティクスの活用事例をご紹介します。
A:他社活用:他社や外部に向けた情報提供によるサービス提供にビッグデータを用いている事例 第1回〜第4回⇒掲載済み
B:自社活用:自社の競争力強化にビッグデータを用いている事例 第5回〜第12回
今回は「③R&D」、すなわち企画・開発に関するビッグデータ活用事例です。
ビッグデータ活用事例:R&D
「企画・開発」は商品やサービスの企画や開発にビッグデータを活用した事例になります。
米国最大手の書店チェーン、バーンズ&ノーブルで「自社の電子書籍端末から収集したデータを分析し、長編ノンフィクションは途中で投げ出されやすいことを発見」し、「最後まで飲んでもらいやすいように、健康や時事問題をメインで取り扱うトピック別の短編集を刊行した」ということ事例があります。アマゾンも電子書籍の出版により、いずれはこの領域に参入してくると予想されます。書店販売店が抱える大量の顧客群に対して、これらの顧客の読書情報を活用する事により、それらの顧客に最適となる商品をリコメンデーションするだけではあき足らず、新たな本を開発(出版)してしまおうという考え方です。アパレルではSPA(Speciality Store Retailer of Private Label Apparel)は当たり前になりつつありますが、書店においてもそのような流れが起こるのでしょうか。出版社の「キードライバー」を「執筆者と共同で売れる本を作っていく」とするなら、今すぐにでも電子書籍のプレーヤーから読者の本の読み方に関するデータを受領し、分析に取り組む必要があるでしょう。
バーンズ&ノーブルは2013年6月にタブレット端末(NOOK)の事業から撤退を発表しましたが、8月には事業の継続が発表されました。ここでは、上手くいっているか否かは置いておいて、そのようなデータを本という商品の開発にかつようしているという程度で理解していただければよいと思います。
もう1つ事例を取り上げましょう。ネット業界ではA/Bテストと言う手法が一般化しつつあります。A/Bテストとは、正式にはA/B スプリットランテストと言われており、2つのバージョン“A”と“B”をテストに用いる手法で、2つある選択肢のうち、どちらがより良い結果をもたらすことができるのかを実際に行ってみる事で見極めることです。
このA/Bテストは、ウェブページやバナー広告、メールマガジンなどによく利用される手法です。
有名な例ではオバマ大統領が米国大統領選の時に効果的にこのA/Bテストを活用した事で非常に有名になりました。実施方法は非常にシンプルで、何千万人という有権者にメールを一斉配信するのではなく、事前に複数種類の件名や文言を一定の有権者でテスト配信をしてみます。その反応結果から、最も効果の高かった件名や文言を残りの有権者に配信する事で効果を高めるというやり方になります。
ゲーム業界のジンガは、「無作為に2グループに分けたプレーヤーに対して、それぞれ微妙に異なる配色やデザインのバーチャルグッズを提示し、反応を収集」することで、「テスト結果で売れ筋だったバーチャルアイテムを採用し、ゲーム内で販売することでバーチャルグッズの売り上げ増」につなげています。
オンラインゲーム業界においては、配色を変える、デザインをかえるなどは非常に容易にできるため「商品企画・開発」においても実現可能なやり方になります。また、ゲームの商品開発において、色を変える、デザインを変えるなどはほぼ追加のコストがかからず、そして、売れた分だけ全てが利益につながるコスト構造になっています。その他でも、アイテムの金額を変えてA/Bテストを行う、ゲームの難易度やシナリオを変えてA/Bテストを行うなど、多くのゲーム業界がこの領域にビッグデータを活用しています。
先にも記載した通り、ザラのように非常に短期で商品開発・生産を行える企業ではこのようなデータ活用が非常に競争力の強化につながる可能性があります。
また、今までは時間をかけて開発をし、金型を作り、生産などを行っている企業では正直、このA/Bテストを行う事は非常に難しい状況にありました。ですが、近年では3Dプリンターなども登場しており、企画段階で商品を安価に複数開発し、その評価をA/Bテストにより実際の顧客に行う事で収益を最大化させるビジネスなども出てくるでしょう。
次回に続く。
ビッグデータに関してより詳細にお知りになりたい場合はこちらを
会社を強くする ビッグデータ活用入門 基本知識から分析の実践まで
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