分析フラグを作ることで分析者の認識を統一する | データ分析のお作法

  • f
  • t
  • p
  • h
  • l
title_analytics_osahou

本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)

分析フラグは誰のため? 自分のため? DBレスポンスのため? 1番の理由は分析メンバーのためです!

データ分析業務の中で、よく「分析フラグ」を追加して、データ分析を行う場合があります。しかし、「分析フラグ」を追加するタイミングや使い方が下手な人が多いです。そもそも、なぜ「分析フラグ」が必要なのかを「優良顧客フラグ」を例に説明したいと思います。

優良顧客とは?

優良顧客とは、企業にとって「良い利益を出してくれる顧客」です。しかし、具体的な優良顧客の基準はどこにあるのでしょうか? 優良顧客の基準は、数学の方程式のように1つのロジックで1つの結果に集約できるものではありません。なぜなら、企業の業種業態、会社規模によって優良顧客の基準が違うからです。
例えば、B to Cが中心の商店を想定した時、年間100万円の商品を買ってくれる顧客は優良顧客となります。しかし、B to Bが中心の卸業者を想定した時、年間100万円の商品を買ってくれる顧客は、普通の顧客と大差なく、優良顧客にはなりません。また、B to Cが中心の商店でも、5年以上前に1度だけ100万円の商品を購入した顧客は、優良顧客とはなりません。

優良顧客フラグによって曖昧さをなくす

「優良顧客」という意味は分かっていても、「優良顧客の基準」はバラバラです。このようなバラバラの基準を分かりやすくしたのが「優良顧客フラグ」です。
データ分析を行う前、分析対象の企業に合わせた「優良顧客の基準」を定義します。そして、この「優良顧客の基準」を使い、「優良顧客フラグ」を追加します。これを行うことによって、「優良顧客フラグ」を追加する担当者だけ「優良顧客の基準」を知っていれば、他の分析メンバーが「優良顧客の基準」を知らなくて優良顧客を判断できます。
例えば、優良顧客の基準は「直近1年間で100万円以上購入した会員」とした時、優良顧客フラグを追加する担当者は、顧客の売上情報の売上日と売上金額を判断し、優良顧客フラグを追加する必要があります。しかし、優良顧客フラグが追加された後は、優良顧客の基準が「直近1年間で100万円以上購入した会員」であることを知らない分析メンバーでも同じ基準で優良顧客の分析が行えます。

優良顧客フラグは”フラグ”であることに価値がある! 複数の条件を登録するなら項目を分けることを検討する

優良顧客フラグは、フラグであることに価値があります。なぜなら、フラグ項目は、「”1”が登録されていれば、その項目の条件に該当する」事を意味します。そのため、誰でも優良顧客フラグに”1″が登録されていれば、その顧客は、優良顧客であることが判断できます。(参照:「コード」と「区分」と「フラグ」の違い)
そのため、優良顧客フラグに異なる優良顧客の基準をコードとして登録することは、混乱のもとになります。なぜなら、複数のコードをフラグ項目に登録するのは、フラグ項目の本来の使い方と異なります。だからといって、「優良顧客フラグ」を「優良顧客コード」に項目名称を変えれば良いものではありません。優良顧客コードに変更するなら、登録されるコード値が何かを示す「コード定義書」等が必要になってきます。
この様に「優良顧客フラグ」に異なる優良顧客の基準を登録し、項目名だけで分析メンバーの意識を統一したいのならば、優良顧客フラグを優良顧客の基準ごとにデータ項目を分けることを検討してください。

誰でも分かる情報、それが分析フラグである

今回は、「優良顧客フラグ」を例に分析フラグについて説明しました。分析フラグで重要なのは「分析メンバー全員が同じ意識を持てる」ことです。そのため、数人の分析者しか分からない分析フラグは無意味です。分析メンバー全員を考え、誰でもわかる分析フラグの名称を付ける必要があります。

  • f
  • t
  • p
  • h
  • l