日米での人流解析の違いが面白い:iBeaconデータ活用指南書(9)
f t p h l
本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)
日米の考え方の違いにも触れながら人流分析業界でのトレンドを追う
ここまで、iBeaconデータから人流分析をどのように進めて行くのか、POSデータ分析との違い・双方の活用法など、人流分析を活用していくにあたって考えなければならないことや注意点をお話してきました。
今回は、日米の考え方の違いにも触れながら人流分析業界でのトレンドを追ってみましょう。
人流分析の王道ヒートマップと数値分析(アナリティクス)
「人がどのように流れているのかを分析する」と言ったときに、「野菜売場1では来店者の26%が立寄り、野菜売場2では来店者の54%が立寄り・・・」と数値で見て行っても理解できないことはないですが、店内地図などにマッピングすることで、直感的に理解していくことが出来ます。例えば下の図のように。
http://www.hitachi-hightech.com/jp/product_detail/?pn=hbdc_003
熟練のレイアウト担当者や毎日店舗にいる店長、優秀なMDであれば、このマップ図を見ただけで、人が多く滞留している場所の理由や逆に人が立寄っていない場所の問題点などが手に取るように分かり、改善策をも思いつくかも知れません。
しかし、逆に業務への理解が浅い人や全く小売りの土地勘がない人が見ると「ふーん。面白いね」で終わってしまう可能性を秘めています。
逆に数値分析の方はよりシンプルに課題を抽出するように表示されます。次に示しているのがアメリカで人流分析を行っている2社の例ですが、いずれも人の流れの変化をグラフで示したり、売場別の滞在時間を円グラフや割合、店舗別ランキングなどで示しているのか特徴的です。
http://www.walkbase.com/solutions/analytics
このように実際にアナリティクスとして分析結果の形で出すことで、業務理解が浅い人でも、なにをすればいいのかが分かりやすくなり、施策へと反映していくことが容易になるメリットがあります。
つまり、業務理解が十分にあり、店舗に対して細かい施策を行っている場合には、ヒートマップを眺めるだけでも仮説を立案することが出来る。また逆にアナリティクスとしてデータを数学的に表示していくことで、業務理解が浅い人でも、問題点がどこにあり、自分の店のランキングがどうなっているのかなどに気づき、Try & Errorをしてみようという気にもなることができます。どちらが良い悪いという話ではなく、それぞれに根本思想の違いがあり、うまく使い分けることが大切と言えるでしょう。
ヒートマップ好きの日本とアナリティクス好きのアメリカ
弊社が数十社に及ぶ人流分析を行っている会社を日米で調査したところ、「日本ではヒートマップ派が多く、アメリカではアナリティクス派が多い」ように見受けられました。
(当然、すべての会社を調べたわけではないため、これがすべてではありません。また、日本でもちゃんとアナリティクスを行っている会社やアメリカでもヒートマップを活用している会社も存在しています。)
先にも述べている通り、どちらが良い悪いではなく、ユーザー側がどう使えるかという部分にも依存する為、小売業にその道の職人やプロが多い日本ではヒートマップが好まれているような気もします。しかし、人流分析が広がっていく(もしくは現場で活用していく)場合には、アナリティクスにまで落とし込んだデータの見せ方も必要になってくると考えています。
アメリカにも小売業のプロは存在しますが、数人のプロに依存するのではなく、いち早く現場店長クラスへ活用を意識させ、企業全体で分析を活用していくという姿勢が感じ取れる人流分析のトレンドでしょう。(つづく)
【連載記事:iBeacon指南書】
第1回:iBeacon(アイ・ビーコン)データを経営に活用せよ!
第2回:人の流れのデータ取得の歴史とデバイスの進化
第3回:iBeaconを人流データ取得デバイスとして使う為に乗り越えるべき壁
第4回:iBeaconの最大の強み「安い」ことを活用する
第5回:大切なのは“精度検証”と“Beacon間の計測差”を整えること
第6回:一口に人流といっても大きく3種類。それぞれ目的に合わせて取得しよう
第7回:結局、大事なのは「人流分析して何をしたいのか?」という問い
第8回:するべきなのは「人流分析」なのか?
第9回:日米での人流解析の違いが面白い (本稿)
第10回:gridならヒートマップもアナリティクスも提供!
f t p h l