大切なのは“精度検証”と“Beacon間の計測差”を整えること:iBeaconデータ活用指南書(5)
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本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)
目次
人流分析でもデータクレンジングはとっても大切
企画からデータ取得までの一つの旅を前回までで終えたらすぐにでも分析に入りたいことだと思います。しかし、データ分析につきものの、データクレンジングを人流分析(iBeaconデータ分析)でもしっかり行わないと、分析そのものの信頼性も揺らぐことになってしまいます。
精度を確認して分析しない怖さ
例えば、ある商業施設の7月の一日の計測結果が下記の通りだったとします。
Beacon001:24人、Beacon002:56人、Beacon003:124人、Beacon004:16人
このままでは、なにも問題が無いように見えますが、次の場合はどうですか?
Beacon001(入口):24人、Beacon002(エスカレータ前):56人、Beacon003(トイレ前):124人、Beacon004(出口):16人
「店長!うちの店はトイレ前が最もお客様が来ます!」
・・とはならないですよね。
他にも、
Beacon001(入口):280人、Beacon002(レジ):270人
こちらもこのままでは、なにも問題が無いようですが、、
「POSでは客数が530人でした」という結果を知ったら、、
レジのBeacon002はレジに近い通路の人の行き来まで計測していたとしたら、、。
一つのデータだけ見て分析を進めることには危険が多く潜んでいます。
精度が悪い!だから使えないデータだ!と嘆く前に。
iBeaconはそもそもiPhoneユーザーかつアプリインストール者しか反応しないので、そもそもが「サンプルデータ」の分析と認識しておくことが重要です。つまり、iBeaconデータだけで店内人流全てと考えるのではなく、あくまでバイアスのかかったデータであると知っておくことが分析の前の思考の一歩目です。
しかし、その場合も、実際のBeaconに対する「感知精度」は確認しておくべきでしょう。例えば、
- 設置Beaconに何メートル近づいたらiPhoneを検知
- 混雑時にはBeaconが検知できる割合が80%程度検知
- 鞄の中にiPhoneを入れている場合は70%程度検知
など、どのような状況でどの程度の精度かさえ分かっていれば、それを前提にした分析結果の解釈が可能になります。
もう一つ、“Beacon間の計測差”を整えないと分析はミスリード
前述の通り、Beaconに対する「感知精度」の確認は重要とお伝えしておりますが、当然のことながら設置してあるBeacon毎にその「感知精度」は異なる為、これらを調整していかないとBeacon同士の計測結果に差がある状態となってしまいます。
この調整を行わないまま、それぞれのBeaconの計測数をそのまま、マップ上にプロットしてヒートマップとして可視化している例も耳にしますが、「それって本当に大丈夫なの?」と感じ得ない例もまだまだ多いのが現状です。
人流計測できるのはiBeaconだけではない
今回はiBeaconの精度検証の重要性についてお伝えしましたが、それでも「GPSの届かない屋内でBluetooth Low Energy(BLE)を使って動きを追える」という点においては、非常に優秀でこれまでにない技術ですので、活用していきたいですね。次回はiBeaconにかたくなにこだわるのではなく、「人流分析」や「顧客行動分析」としてどのようなデータが
取れればいいのかという視点から、使えるテクノロジーを探ってみましょう。(つづく)
【連載記事:iBeacon指南書】
第1回:iBeacon(アイ・ビーコン)データを経営に活用せよ!
第2回:人の流れのデータ取得の歴史とデバイスの進化
第3回:iBeaconを人流データ取得デバイスとして使う為に乗り越えるべき壁
第4回:iBeaconの最大の強み「安い」ことを活用する
第5回:大切なのは“精度検証”と“Beacon間の計測差”を整えること (本稿)
第6回:一口に人流といっても大きく3種類。それぞれ目的に合わせて取得しよう
第7回:結局、大事なのは「人流分析して何をしたいのか?」という問い
第8回:するべきなのは「人流分析」なのか?
第9回:日米での人流解析の違いが面白い
第10回:gridならヒートマップもアナリティクスも提供!
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