iBeaconを人流データ取得デバイスとして使う為に乗り越えるべき壁:iBeaconデータ活用指南書(3)

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本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)

iBeaconはまだ“最終兵器”なのか!?

前回、iBeaconにより「人流・動線データを低コストで大量に取得できる」とお話ししました。しかし、iBeaconはまだ“最終兵器”と言い切るには早い段階であり、ある一つの大きな壁を乗り越えなければなりません。

iBeaconの優位性と弱点

人流・動線分析を行う為のデバイスとして、調査員調査・カメラ・iBeaconを紹介しました。その上で、データの「量」と「質」の両方の観点からデバイスごとの強み弱みを考えてみたいと思います。
調査委員調査では「多くのデータ項目量を取れるがサンプルデータしか取れない」という点から比べると、カメラ画像は逆に「少ないデータ項目量だがビッグデータが取れる」ということになります。
iBeaconはというと、現時点では消費者全員とは言えず、携帯電話所持者のうちのスマートフォン所持者のうちのiPhone所持者のうちの当該アプリインストール者に限られてしまいます。(携帯所持率、スマートフォン割合などは業種業態によっては100%に近くなるかもしれませんが、iPhone率やアプリインストール率はかなり低い数値になると思います)
また、画像解析技術の進化によって、カメラ画像からも性別年代が把握出来たり、商品を手に取った取っていないかの判別が可能になっていくものと思われます。(様々なプレイヤーが研究開発を進めていますし、既に実用化しているプレイヤーもいます。そう遠くない未来メジャーなデバイスとなり得る可能性が高いと考えます)

乗り越えなければならないのは「アプリをインストールさせる」こと

消費者におけるiPhone所持率の高低は、業種業態により決まってしまうので、もし所持率の低い業種業態でiBeaconを活用した調査を検討されているのであれば、他のデバイスによる調査を再検討される方がよいでしょう。
もし、iPhoneユーザーが顧客に十分に存在する業種業態で行う場合でも、最初で最大のハードルは「計測対象となる為のアプリをインストールしてもらうこと」になります。(iBeaconによって顧客(iPhone)の位置・移動を計測するためには、iPhone内に特定のアプリをインストールしてもらう必要がある為です。(Beaconから発信されている信号をアプリが受信することで、iPhone側からBeacon側へ信号が送られる仕組みだからです。このあたりの技術面詳細は、他の方々が詳しく記載していますので、そちらをご参照ください))
 

いかにインストールするメリットのあるアプリを作れるか

もし、あなたが、「あなたの行動動線を分析してみたいので、このアプリをインストールしてください」とお願いされたとしたら、インストールしますか?もちろんインストールすることはないでしょう。その為、顧客の人流分析をiBeaconで行う場合は、顧客自身にメリットがあるアプリを開発することが非常に大切となります。
 

アプリ開発の予算はだれのもの?

しかし多くの場合、そのような顧客マーケティング要素の強いアプリ開発を行う部門と人流・動線分析する部門とは、物事の考え方が大きく異なる場合が多く、なかなか協調して動くことが難しい面もあると思います。
次回は、このiBeacon導入に対する課題の乗り越え方についてお話したいと思います。(つづく)
【連載記事:iBeacon指南書】
第1回:iBeacon(アイ・ビーコン)データを経営に活用せよ!
第2回:人の流れのデータ取得の歴史とデバイスの進化
第3回:iBeaconを人流データ取得デバイスとして使う為に乗り越えるべき壁 (本稿)
第4回:iBeaconの最大の強み「安い」ことを活用する
第5回:大切なのは“精度検証”と“Beacon間の計測差”を整えること
第6回:一口に人流といっても大きく3種類。それぞれ目的に合わせて取得しよう
第7回:結局、大事なのは「人流分析して何をしたいのか?」という問い
第8回:するべきなのは「人流分析」なのか?
第9回:日米での人流解析の違いが面白い
第10回:gridならヒートマップもアナリティクスも提供!

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